中国

「環境立国・日本」を築いた人たち

私は、日本における環境汚染物質の測定分析を生業として50年、特に測定分析データの信頼性確保に向け、測定分析ラボ(試験所)の国際標準規格であるISO/IEC 17025の認定資格取得を、積極的に日本全国の環境測定分析事業者に働きかけてきました。そうした甲斐もあってか、日本のラボにおける測定分析データの信頼性向上は、現在の(一般社団法人)日本環境測定分析協会の努力の甲斐もあって、改善されてきていると考えます。

 

 

私は1995〜1999年の4年間、社団法人(当時、現在は一般社団法人)日本環境測定分析協会の会長を務めました。この間、特に米国の環境測定分析ラボラトリーにおけるデータ精度管理の実態(LIMS:ラボラトリー・インフォメーション・マネジメント・システム)について、現地調査を行った後、会長在任中に多くの事業経営者に向けて米国の実情を紹介し、優れた仕組みシステムを積極的に取り入れるよう、働きかけてきた。したがって、ISO/IEC 17025機関として登録している事業者も増えてきているのが実態です。

 

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シンガポールが抱える越境大気汚染問題

1.はじめに

シンガポールは、本来はマレー半島南部ならびにシンガポールおよびインドネシア(スマトラ島)で構成されていた港市国家、ジョホール王国(Johor Sultanate)の一部であった(1511〜1819年)。1819年に英国人トーマス・ラッフルが王国の許可を得て東インド会社の交易所をシンガポールに設立、1824年には、英国はシンガポールの主権を取得し海峡植民地とした。第二次大戦後、シンガポールは英国から独立し、1963年にマレーシアの一州として参加したが、1965年にマレーシア政府とリ・クワンユーの政策との確執(政策の不一致)により、マレーシアから追放された後、シンガポール共和国を建国した。

 

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地球温暖化を食糧生産(主に家畜の飼養)の観点から見た景色

地球温暖化を食糧生産(主に家畜の飼養)の観点から見た景色:地球上に飼養されている家畜の数は700億頭で、このうち2/3は工場式畜産によると紹介されています[1]。つまり、470億頭はストレスを抱える環境で飼養されています。動物もそうですが、過酷な環境で育成されたものを口にすることは、人にとっても決して受け入れるべき食べ物ではないということが、同書籍で紹介されています。「ファーマゲドン」の副題には、「安い肉の本当のコスト」は、例えば「ハンバーガーの真のコストは1万円」と書籍の帯には記されています。

人間の旺盛な食欲が、過剰の食物生産システムを造りだし、大気汚染、土壌汚染、水質汚濁、はたまた温暖化を加速する要因となっていることは意外と知られていません。家畜700億頭は、人間の人口が2015年現在72、3億人と考えると、その約10倍に匹敵します。これら家畜の飼料は、多くが大豆やトウモロコシで、これらは人間の食糧源であることは言うまでもありません。人間一人が生きていく食物量は、穀物で換算して180㎏/年と言われています[2]。ちなみに2012年の世界の穀物生産量は24億tで、これを人口71億人(2012年)で除すと、340㎏/人となります。つまり、今日では全世界の人々に十分に行き渡るほどの食糧生産を実現していることになります。ところが、実際は8億数千万人の人々が飢えているのが現状です。

一方、先進国では、現在の家畜の飼養方法に大きな疑問を投げかけています。家畜における工業式畜産とは密集形態による生産方式を言います。つまり家畜が身動きのできない狭い空間に押し込められ、飼料を口から流し込まれます。家畜の密集リスク回避をするために、多量の抗生物質が使用されます。また、ペニシリンなど予防接種が当たり前に行われ、言い換えれば薬漬けの状態で飼養されていることになります。例えば一般的に、鶏は成鶏になるまでには約4、5月(120日〜150日)掛かりますが、工場式畜産では、およそ7週間(50日)で肉として出荷に耐える目標体重に達しているのが現状です。

ここで言いたいことは、私たちは愛玩動物である犬、猫に関する思いやり(Compassion:コンパッション)については関心が高いのですが、日ごろ口にしている牛、豚、鶏等の家畜に対する「思いやり」に欠けていると指摘している団体があります。それが“コンパッション・イン・ワールド・ファーミング(Compassion in world faming:世界の家畜に思いやりを)です。ストレスを掛けられ飼養された家畜の肉などの食材と、人間の健康状態とに大きな相関があると指摘しています。密集状態の環境で抗生物質や様々な薬物が投入された家畜の肉は不健康で、この肉を食する人間も不健康になるというものです。先進国では有り余る不健康な食材を口にする人々の多くは、身体的、精神的不都合を抱えている可能性が高いと説明されています。

私が50年前に公害問題を手掛けたころに、ベストセラーになった書籍に、レイチェル・カーソン著「沈黙の春」{1962年、日本語訳は1964年に『生と死の妙薬―自然均衡の破壊者〈科学薬品〉』}がありました。今日、日本の農業における農薬の使用量は世界一と言われています。幸いにも、農薬の使用タイミングや量の規制、管理が行き届き、農作物のへの残留農薬の量は一頃よりは大幅に削減されたと言われています。しかし、厳密なセンサスが行われその実態を調査し、国民に報告される形とはなっていないのが実態です。今のところ、農薬による土壌汚染、河川や地下水の水質汚濁などの厳しい汚染が明らかとなったとされる報告ありません。

家畜の生産についても、欧米のような密集飼養状況と比較すると、それほどまで厳しい状況にはないのかも知れませんが、生産性を上げコスト競争力を考慮すると、欧米に類した密集型家畜生産システムの方向を選択する動きは見られます。日本における家畜による環境汚染問題は、悪臭、水質汚染(地下水を含む)、病害虫の発生など、地域によっては深刻な状況にあることは間違いありません。

冒頭で紹介した通り、全世界で700億頭の家畜が飼養され、その2/3が健全な飼養状況にないことの指摘は、家畜そのものの不健康さに加えて、環境汚染問題も極めて深刻であることは言うまでもありません。いわゆる「畜産公害」に加えて、排せつ物による温暖化物質の大気への放出も、見過ごせないレベルであることは容易に理解できます。炭酸ガス(CO2)はもとより、メタン(CH4)や亜酸化窒素(N2O)の排出量は、化石燃料の燃焼によるCO2を凌駕しないまでも、相当に大量である点は見過ごせないと考えます。その意味で、温室効果ガスの排出抑制の観点からの、家畜飼養のあり方を考える時代が到来したとも言えます。ちなみに、日本における家畜からの温室効果ガス排出量は1,210万t-CO2(2010年)で、総量13億 5700 万トン CO2の1%に相当すると見積もられています[3]。家畜頭数は、全部で3億2,160万頭に達しますが、このうち鶏が95.8%を占めており、豚は3%の954万頭、牛(乳牛、肉牛)は1.2%の396万頭となっています。

フィリップ・リンベリー、イザベル・オークショット著「ファーマゲドン」に記載されている内容には、人間が食糧とする家畜のみならず、野菜なども含め、密集形態による栽培・育成を可能な限り避け、動植物に対して“思いやりの心”を持った生産ならびに栽培手法を進めなければ、人間の健康に跳ね返っていくとされています。「畜産の集約化は、食べ物の栄養価を破壊しているも同然である」(p.213)、「肥満動物の肉を食べれば、肥満になります」(p.214)など。つまり工業型畜産では、家畜を太らせるように品種改良を行い、ただ檻の中でひたすら餌を食べ続ける。当然、脂肪分が多くなり、健全とは言えない肉として世に出回ることになります。

一方、700億頭もの家畜から排せつされる糞尿は、メタンや亜酸化窒素といった温暖化物質を大気中に放出します。こうして見ると、農業分野における健康な食糧生産に加え、温暖化対策をも考慮した農産物の生産も、重要であることが理解できると思います。食糧生産に思いやり(Compassion)を持った動きは、決して最近に起こった考えではなく、1960年代にはこうした活動が開始されています。環境問題は、巡り巡って私たちに跳ね返ってくるものです。こうした取り組みの必要性について、改めて強く実感した次第です。

[1] フィリップ・リンベリー、イザベル・オークショット著「ファーマゲドン」p19より

[2] http://www.chikyumura.org/environmental/earth_problem/food_crisis.html

[3]http://www.maff.go.jp/j/council/seisaku/kikaku/goudou/16/pdf/doc1.pdf

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「公害を垂れ流して経済大国になった中国と富の占有率の拡大」

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上の図は、中国の一人当たりのGDPの推移を示したものです。21世紀に入って、中国は急速な勢いで経済発展をしていますが、これの意味するところは、言うまでもなく「エネルギー」と「資源の多消費」にともなうものです。
一人当たりのGDP(GDP/Capita)が示すように、経済的豊かさが飛躍的に伸びている一方で、中国は富の占有率(所得上位10%人口の資産が総資産に占める割合(%)※)の格差も広がっています。中国の富の占有率は、15年前の2000年には49%と、富の再分配が上手く行っていたと言えます。しかし、2014年には64%と跳ね上がっています。富の占有率の高い国は、他にも多く存在しますが、14年間と言う短い期間で富の占有率が進んだ国は、中国において他はないと紹介されています。

中国における富の占有率格差の拡大は、主要産業である石油、鉄鋼、化学、電力、繊維、銀行と言った国有企業が、21世紀に入って、相次ぎ国際証券取引所に上場したことが、その背景にあります。例えば、中国石油化工有限公司(中国三大石油会社の一つ)は2000年に香港、上海、ロンドン、ニュヨークの証券取引所に上場しています。宝山鋼鉄(山崎豊子氏の小説「大地の子」の舞台となった宝山製鉄所は、日本の支援で誕生した製鉄所です)は2002年に上海証券取引所に上場しています。多くの国有企業が上場したことによって、当該企業は多額の創業者利益を手中にしました。そして、これら企業の幹部(上級国家公務員や共産党幹部)は、自らの報酬額をつり上げ多額のお金を手にするようになり、大金持ちとなりました。これが富の占有率を大きく引き上げた原因です。

これら企業の経営者・幹部が、企業経営において社会的責任(CSR)感を持ち合わせていたならば、創業者利益は、それぞれの企業から排出される廃棄物(環境汚染物質)を適切に処理(公害防止対策)するために使われただろうと考えます。しかし、創業者利益は、企業経営者ならびに幹部の懐に向かいました。これが中国の環境汚染を深刻かつ長期化させている原因であると、私は考えています。つまり、富の占有率が高まったことは、富の再配分を誤ったことになります。中国は、2009年には日本を抜き世界第2位の経済大国となりましたが、環境問題は日本の1950、60年代頃と同じで、国土を汚染させ経済大国にのし上がった国と言えます。見方を変えると、日本の経験から極めて潜在的に大きな負の財産を抱えたことになります。

ご存知のように、日本も経済発展の過程で、最大の貿易相手国である米国と、1960年代後半に繊維分野での貿易摩擦を生じさせました。米国は、具体的に国名を上げませんでしたが「公害を垂れ流し続ける国が、市場経済に参入することは許されない」と、日本を間接的にけん制した経緯があります。日本の良いところは、このことを真摯に受け止め、急きょ政策転換を図ったことです。これが世に言われます1970(昭和45)年に開催された「公害国会」で、その後、公害防止に専念することになりました。残念ながら、今の中国に“モノを申せる”国家はなく、中国はやりたい放題です。大気汚染、水質汚染、土壌汚染、地盤沈下、騒音、振動、悪臭、日本ではこれらを「典型7公害」と呼んでいましたが、現在の中国はいずれの公害も深刻です。何故、環境汚染は改善されないのか、理由は以上縷々申し上げました通り、富の占有率の拡大、すなわち多くのリーダー達が、拝金主義に走ったからだと言うことができます。中国は日本が犯した轍を踏んでいます。日本は、米国から正されました。しかし、中国に公然と“モノを申せない”日本が情けない。私はそう感じています。なお、日本は富の再分配が最も進んだ国の一つで、2014年現在で占有率は48.5%です。世界一位はベルギーで、47.2%となっています。見方を変えれば、日本はベルギーとともに何処の国よりも社会主義的な国と言えます(※:「低欲望社会」大前研一著 p23、24参照)。

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PM2.5によって良性腫瘍に罹った娘を抱える母の思い

中国の元CCTV(中国中央電子台)人気キャスタ-柴静(Chai Jing)が、”アンダー・ザ・ドーム”(中国版TED)で、自分の娘がPM2.5により良性の腫瘍に罹った「」ことから、中国のPM2.5汚染の実態を、自らの足で取材し、制作したYouTubeを題材に、プレゼンテーションを行ったところ、このYouTubが全世界で1億回もクリックされるという炎上を起こした。2012年12月に中国北京の米国大使館が、PM2.5のモニタリングデータを公開、これをはるかにしのぐ、ニュースとして世界を駆け巡った。 柴静(Chai Jing):アンダー・ザ・ドームで、PM2.5について、プレゼンテーションを行う!「柴静のPM2.5プレゼン150307

柴静(Chai Jing)

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「PM2.5によって腫瘍に掛かった娘を抱える母の思い」(私は…

私は、行動を起こすことを決断した!

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私は、朝のCCTVから流れるニュースに満足していません。私は基本的には政府に逆らう考えはありませんが、何か行動をしたいと思い、2015年3月1日に立ち上がることにしました。

私は今の生活の中で、この瞬間に「何かをしなければならない」という、衝動に駆られました。私はCCTV(中国中央電子台)の出身ですが、退職し長く沈黙を続けてきましたが、「アンダー・ザ・ドーム」(中国版TED)でプレゼンターを務めることにしました。この動画は、自分自身(柴静:Chai Jing)で制作したものです。103分の映像は、今日の深刻な大気中の微小粒子状物質(PM2.5)に関する発生のメカニズムと、その問題点についてまとめたものです。私、柴静は、これまで時間をかけPM2.5について、それに関する情報やその濃度測定を続けてまいりました。

私は、CCTV在職中に一人の娘を宿し、出産、これをきっかけにCCTVを退職しました。娘の誕生後、娘は病を発症し、その診断内容が良性の腫瘍であることが明らかになりました。私は、原因が何であるか、本能的にPM2.5との関係を疑ってしまいました。これは、仕事していた時の取材を通しての気づきでもありました。今は、この疑に対して、私は、中国は「PM2.5という、人間の目で見えない小さな敵との戦争状態に置かれている」と、思っています。

職業経験と母性本能がPM2.5の課題を指摘する!

私は、2013年10月に娘を出産し、CCTVを辞職しました。私、柴静は、CCTVの朝チャンネルでニュースキャスターとして、で多くの人々に親しまれてきました。現在の主な仕事は、娘の世話をすることです。私は、CCTV時代に、PM2.5の課題に関する番組を取り上げたことがあります。この「アンダー・ザ・ドーム」に出演する前、人民日報のインタビューに、こう答えています。CCTVを辞職した背景について、子供が病気に掛かっていることを明らかにしました。この後、私は、全ての仕事、そして仕事関係での招待を辞退し、子供の面倒を見ることに全力を尽くしています。

私は、中国版TEDに出演した理由は、PM2.5と娘の病気の現実を知っていただくためです。私は、出産に際して、ただ娘の健康以外、何も望みませんでした。しかし、娘は良性腫瘍と診断されたのです。この病気を治すには手術が必要ですが、極めてリスクの高い全身麻酔を掛ける必要があると言われました。実際に手術をしてもらいましたが、医師からは、術後に「手術は成功でしたよ」と言われましたが、彼女は昏睡状態にあり、目を覚ますことはありません。私は、この場で(中国版TED)で、PM2.5が、私の娘の主体性を奪い去ったと、痛感したことを、皆さんにお伝えしたいと考えました。

公害問題に強く注目!

以後、コミュニティや福祉問題に強く関心を寄せるようになったのは、こうした背景に基づくものです。深刻な公害問題、PM2.5はその一つに過ぎませんが。そして、私は、過去の職業経験上、PM2.5を始めとする様々な公害問題について、その原因を明らかにし、多くの皆様に知っていただく、そうした活動を推し進めたと決心いたしました。この動画を製作するに当たって、私はマスクも着用せず、いろいろな場所でインタビューをしてまいりました。多くのお母さん方を対象に、自分達が呼吸している空気について、食品について、彼女らが怖がっていることを実感することができました。母親である前に、一人の人間であることを、強く実感させられました。インタビューを重ねるほどに、憤りの感情を抑えることの難しさも、味わいました。現実に突き付けられている事情を考えると、私達の未来はどうなるのでしょうか。

微小粒子状物質(PM2.5)の発生源を私費で調査

私は、オンサイトによる動画撮影のみならず、公共のビデオについても調査を行いました。そして、様々なデータについての比較検討も行いました。情報は、環境の専門家から、また、実際に石油コンビナートや様々な産業の現場に赴き、インタビューを通し得ることができました。私は、1年間を掛け、私費(約2000万円)で、この動画を製作いたしました。この動画のポイントは、あらかじめ答えを用意していただいたものではなく、体当たりで得たものであり、こうしたインタビューに対して、誰も拒否することなく、私の質問に答えていただいたことは、本当にありがたく思っておりますし、感謝しています。

私の活動は、米国や英国でも紹介されており、大気汚染防止の基本形として、新たな評価を得ています。つまり、私が公開したYouTubeサイトには、全世界において閲覧していただいているようです。私は、PM2.5の源がどこで、途中でどのように変化し、そして私達のところへやってくるのか、客観的にPM2.5について説明するのは容易ではないですが、これらの根本的な発生原因、またこれらの有害性について学習しました。PM2.5は、石炭や石油の燃焼に伴い大気中に排出される微小粒子や様々な有害ガス成分などが、その原因であること、そして実際にこれら施設が適切に管理されていないこと、またその管理が難しいことについて学びました。そして、大気汚染の少ない都市におけるPM2.5の状況ついても知ることができました。いずれにしても、中国におけるPM2.5の原因の60%以上が、石炭や石油等のエネルギー燃焼に伴い発生する問題であることが分かりました。

中国で起こっている公害問題は、同時多発的で過去のどの国も未体験

中国で経験している現状は、他国では見られなかったケースで、例えば、石炭の消費量は、中国一国で世界の消費量を上回る(2013年度)こと、さらに自動車の普及率についても急速で、これほどの変化をもたらした国は、過去の歴史の中には見られません。つまり、世界で最も急成長している発展途上国であるということ、そして、消費する石炭の量の多さと質の悪さの2点が、PM2.5の問題を深刻にしていることです。私は、中国の抱える2つの問題点を明らかにし、この問題の解決に役立ちたいと考えています。その一つが、質の良い燃料への転換です。二つ目が、管理(環境保全対策)です。これらの実現に、私は、現在の「大気規制法」の改定が急務であると考えています。そして、本件について、私は全国代表人民大会(NPC)の法律委員会に情報提供を求めています。中国における「改正民事訴訟法」の関係者は、私の提案に対して考慮すると言っていただきました。加えて、石油やガスに関係する国家改革委員会は、私の提案に対して歓迎の意思を表明してくれています。

インターネット上で炎上する中国のPM2.5問題

私の「中国版TED」で紹介した動画は、ビデオサイトで放映され、2015年3月2日午後8時30分のプラットフォーム・ブロード・キャスト・ネットワークで35万回もクリックされています。また、先週段階で「中国版TED」だけでは、2000万回クリックされています。こうした現象は、マイクロブログやツイッターによる効果も大きいと見ています。私は、同じ空の下で暮らすものとして、PM2.5が他人事ではなく、自分達の事として共感を引き起こしたものと思っています。「中国版TED」が、環境問題において連帯を呼び起こしたということができます。そして、喫緊の問題として「PM2.5を無くし」、「きれいな空気を呼び戻そう!」が挙げられます。

私は、純粋な母親の立場において、皆さんの共感を得たと信じています。私の活動は、ホットスポットになりつつありますが、国内で流行っている言葉に、「私は死を恐れてはいない、正直に言うと、ここに住みたくはない」と言う表現は、禁句であると思います。私は、自分で番組製作会社を持つ考えはありませんが、こうしたテーマのドキュメンタリーが、公共放送で放映されることを期待しています。また、そうした友人が増えることを望んでいます。こうした思いは、ソーシャル・ネット・ワーク(SNS)が私を勇気づけたと思っています。

柴静のメッセージは客観性であるか?

私の、メッセージに対して、娘の病気を引合いにだし問題提起をしたことに、客観性があるかとの疑問を投げかけられていますが、人間として、人の親として、我が子の病気がPM2.5による可能性が大だと言われれば、黙っていられるでしょうか。世界的の類まれなる大発展途上国であるが故に、私達の生活を脅かす環境汚染が許されてよいものでしょうか。

あとがき

中国では、ジャーリストとして、自分の子供が大気汚染物質であるPM2.5による疾病を受けたことを題材に、環境問題を語ることが許されないようだ。恐らく、一般人なら簡単に握りつぶされたテーマであろう。中国版TED「アンダー・ザ・ドーム」が、中国政府を暗に非難する内容であったことに対して、放映された後に気づき、早速、握りつぶしにかかっている。当初、環境大臣が「よくぞ話してくれたと感謝をしている」との情報もあるが、2012年12月、米国大使館が自らモニタリングしていたPM2.5データをインターネットで公開され、世界中に知られることとなった事件と比較すると、身内から公然と公害撲滅の行動を起こしたことになる。恐らく中国版TEDには、プレゼンテーションする内容の事前検閲があったであろうが、具体的に政府批判をしている内容でもないことから、加えて、かつてCCTVで有名なキャスターを務めていたことから、その品格とでもいようか、計算されたプレゼンテーション力に、問題の本質を見ることを見誤ったというのが、中国政府サイドのぬかった点ではないであろうか。これで開かれた中国に変わるとは思われないが、ネットの持つ意味は極めて大きいことに気付かされる

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